●損保決算:大手が中小のシェアを奪取、ミレアがシェア3割(2001年6月)
東証1部上場14社と相互会社の共栄火災を加えた主要損保15社の2001年3月期決算をみると、前年同期より売り上げ(全種目合計正味収入保険料)を伸ばしたのは、東京海上、安田火災、三井海上、住友海上、日本火災の大手と、中堅で日本生命グループ入りした同和火災(4月からニッセイ損保と合併しニッセイ同和損保)の6社のみで、他の中堅9社はいずれも減収となった。主力の自動車保険を中心に販売網の規模が優劣を分ける結果となった。不況下で損保市場のパイが横ばい傾向をたどる中で、ざっくりいえば大手損保が中小損保のシェアを奪って勝ち残る姿が鮮明になった。
生き残り競争が厳しさを増す中で、損保業界のアライアンス(再編)が急速に進んでおり、すでに@ミレア保険グループ(東京海上、日動火災、共栄火災=来年4月目途に持株会社による統合)、A損保ジャパン(安田火災、日産火災、大成火災、第一ライフ損保=来年4月合併)、B三井住友海上(三井海上、住友海上=10月合併)、Cあいおい損保(大東京火災、千代田火災=4月合併済み)、D日本興亜損保(日本火災、興亜火災=4月合併済み)の5大グループと、それ以外のE中小損保(国内、生保系、外資系)という勢力図が出来上がっている。3月期決算での国内社のグループ別マーケットシェアは、@28・8%、A19・7%、B18%、C12・3%、D10・5%、そしてE10・8%と、5大グループが9割ものシェアをおさえている。中でもミレアグループは約3割のシェアを掌中にしており、将来、明治生命とその提携先の日新火災まで加わると30%を超すダントツのシェアとなる。2番手以下の再統合でも起こらない限り、トップシェアは不変だ。価格競争力の指標となる事業費率(36・6%)の低さとも相まって勝ち組bPの座を掌中にしている。損保ジャパンは最も低い事業費率(36・4%)で最優損保グループといえるが、シェアの面では販売力の強い三井住友海上とほぼ横並びだ。あいおい損保、日本興亜損保は上位3社と大差の4番手、5番手で質量共にもう一段のレベルアップが必要だ。シェア5%の富士火災(AIUと提携)の去就が決まるまで、損保再編は途中経過に過ぎない。(「マネージャパン」2001年8月号掲載の筆者稿に加筆
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