●それでも自賠責の運用益にしがみつく運輸省(2000年4月15日)
●自賠責政府再保険廃止の方向固まる
 政府は3月31日の閣議で、規制緩和3カ年計画(再改定)を決定。政府特別会計制度見直しの議論が進む中で、特にOECD、行革推進本部規制緩和委員会、損保業界から撤廃要望が出されていた自賠責保険政府再保険制度について、今次計画で2000年度以降、廃止を措置する内容が盛り込まれた。
 措置内容は、「自賠責保険の政府再保険の廃止については、@被害者保護の充実、A政府保障事業の維持、B政府再保険の運用益を活用した政策のうち必要な事業の継続、C自動車ユーザー等へのメリット、D合理的な範囲内のコストによる制度改正、の5条件の実現の方向を確認した上で行う」とし、備考に「規制改革第2次見解を踏まえ、政府再保険関係の他、将来的に保険会社間の競争促進方策についても検討する」と付記。
●金融監督庁、損保業界には当事者能力がないのか?

 これを受けて運輸省自動車交通局は4月5日付で「自賠責制度の基本的な見直しについて」と題する文書をまとめた。中で、自賠責保険の支払い、政府保障事業の支払いにかかる紛争処理を行うため、自賠責保険紛争審査会を設置すること、被害者救済対策等に必要な財源は新たな賦課金制度の創設等必要な措置を講ずること、など主張している。
 一見、もっともな主張に受け取れるが、国民とマスコミの支持を得やすい「被害者救済」をタテマエにして、行政改革の流れにあらがい、自らの監督権限と省益の維持を企図する本音が透けて見える。
 すでに法律に基づく第三者機関の自動車保険料率算定会に紛争処理機関が設置されており、屋上屋を重ねる必要は全くない。もし、それが機能していないか、運営に瑕疵があるのならば、自賠責保険とその運営を行う損保会社に対する監督を所管する金融監督庁の監督権限内で改善を措置すればよい。つまり、運輸省の主張を分かりやすく意訳すると、そも金融監督庁には監督能力がなく、損保会社は放っておくと保険金の過少払いをしたり、自算会はいわゆる死亡無責事故等についてきちんと調査をする能力がないから、自分たちがチェックしないとダメだと考えていることになる。一言で言えば、金融監督庁も損保会社も自算会も、運輸省から見れば当事者能力がないと言っているわけだ。さて、そこまで言われて、金融監督庁、損保業界はどうする?黙って自算会の紛争処理機関を解散するか。
 ●運用益を外郭団体や役人の人件費にバラまく運輸省
 驚くべきは、自賠責制度の見直しの中で運輸省が新たな賦課金制度の創設を主張していることだ。全契約者の98%以上が保険事故を起こしていないため、1兆8000億円もの運用益が滞留しており、民営保険である自賠責保険としては当然、さらに一段の保険料引き下げを実施しなければならない。ところが、この民営の自賠責保険料(支払保険金に充当される純保険料の6割)が国の特別会計に入って役人の手にわたると、あたかも税金と化してしまうのだ。運用益の大部分が一般会計に繰り入れられ(分割返済)、赤字財政の補填財源として充当される一方、年間168億円もの大金が運輸省の外郭団体等にバラまかれている。中でも、運輸省の役人の天下り・出向先の自動車事故対策センターで112億円が使われているほか、なんともはや運輸省本省・地方運輸局の役人100余名の人件費等に15億円も事実上流用(業務勘定に計上)されているのだ。特別会計のウラに外郭団体アリの典型的な構図である。
 ●「運輸省ビジネス」の財源がなくなる?
 要するに、運輸省がもっぱら恐れているのは、長年管掌してきた自賠責再保険特別会計が廃止されることにより、莫大な運用益の差配の実権を失うことなのだ。保険収支が異常な黒字超過になっていることから、今後、運用益をゼロにする前提で大幅な赤字料率を組む必要がある。すでに97年に2004年までに滞留益をゼロにする前提で7・7%の料率引き下げを行っているが、現在、年間800億円もの黒字が発生している。事務局の役人任せの自賠責審議会の体質にも大いに問題があるが、とどのつまり、運用益を財源にあてこんでいる「運輸省ビジネス」が存在する限り、現実に運用益をゼロにすることはできない仕組みになっているのだ。
 ところが、今回の規制緩和措置で再保険特別会計が廃止される方向が固まったことから、「運輸省ビジネス」の財源が確保されない可能性が出てきた。民間損保会社の再保険プールに一元化されれば、他の保険同様、保険収支が黒字になれば速やかに料率を引き下げて契約者に還元するだけの話で、基本的に「運輸省ビジネス」の既得権益や特殊事情をことさら考慮することはなくなるからだ。
 運用益の使途についてももとより、税金ではないのだから、民間会社として1つ1つ透明な議論が必要になる。例えば、運輸省がマスコミ対策の切り札にしている、交通事故による重度脳障害患者(主に植物状態の重度障害)に治療を行うための病院経営を、そもそも運輸省の外郭団体なぞがやることが適切なのかどうか。入所待ちの患者が溢れ、5年で退院させなければならないような実態が本当に患者とその家族のためになっているといえるのかどうか。患者とその家族のためにまともな対策を打つ気があるのならば、当然全国的な病院ネットワークを構築しなければならないが、その費用と体制整備を考えるならば、それはもう厚生行政の中で一般会計で恒久的な財源を確保して取り組むべきレベルの問題ではないのか。さらには自然災害被災者や犯罪被害者は見捨てて良いのか等々、広くかつ、ごく常識的な議論が行われるだろう。
 「一般会計(税金)では財源がないから、再保険会計の運用益(支払保険金の財源)を使っている」といった税金と保険料を混同したおためごかしな理屈は、今後、通用しなくなる。
 彼らの財源が乏しくなれば、まったなしに「運輸省ビジネス」の縮小、つまり本省・地方運輸局・外郭団体のリストラ(行革)につながることになる。そこで、当然、金融監督庁も損保会社も本来責任を負っているところの「被害者保護」を前面に立ててまでして、「運輸省ビジネス」の新たな財源を確保するために「賦課金制度」の創設という珍なるアイデアを何とか通そうとしているものと思える。
 もし、現行のひき逃げ・無保険車事故の被害者に対する保障事業の財源の枠を超えて、新たな賦課金が拡大されることになれば、これはもう民間保険会社が取り扱える保険制度ではなくなる。運輸省は堂々と自賠責保険の国営保険化なり社会保険化を世間に主張すべきである。
 ●自賠責の政府再保険廃止論議の経緯
 98年9月
の政府・中央省庁等改革推進本部事務局による政府再保険業務の「独立行政法人化」への検討に呼応して、東京海上の要望を受けた経団連が政府・規制緩和委員会に「政府再保険の廃止」を要請、10月に中央省庁等改革推進本部が「自賠責保険のうち政府再保険業務部分の廃止」を検討対象項目に追加して以来、約1年半、実に辟易するほど契約者不在の不毛の論議が続けられた。運輸省は「被害者保護」、損保業界は「規制緩和」と、双方とも本音をおし隠してマスコミ受けする言葉をことさら強調しながら。
 端的に、99年10月10日付日経新聞の「自賠責再保険すら民営化できずに…」の見出しを付した社説「自賠責保険の再保険業務などは今や政府がやるべき仕事では全くない。国の再保険制度が40数年も続いてきたのは驚くべきことであり、運輸省の懇談会がさまざまな条件をつけ再保険の存廃の結論を先送りにする報告書を出したのはさらに驚くべきことである。もはや政治の出番だ」が世間一般の常識的な見方だ。
 また、99年12月の行革進本部規制改革委員会の第二次見解「自賠責の政府再保険は、現在では保険会社に十分な担保力があるため、リスクヘッジの観点からは必要ない。これを廃止することは運輸省、保険会社双方の事務の簡素化にも資する。将来的には強制保険、引受義務を維持しつつ、保険会社間の競争を促進する方策について検討すべきだ」が政治レベルの常識的な判断だ。
 さらに、世界の常識を言えば、異常災害損害に関わりのない、もっぱらパーソナルリスクを対象とする自動車対人賠償保険分野で、日本は世界第2位の損保大国であるにもかかわらず、先進自由経済国家で唯一、政府再保険という非常識な制度を固持し続け、OECDの自由化審査で5次(87年)、6次(92年)と日本の政府再保険の自由化留保条件につき、正に国辱的な撤廃勧告を受けている。
 このままでは2000年秋の7次審査でまたも世界的な侮蔑と批難を浴びるのは必至であり、さしもの運輸省も再保険会計の廃止については折れざるを得なかったということだ。今回の規制緩和措置は2001年の通常国会に上程されるが、国会での「政治の出番」で運輸族の誰がどんな言辞を弄するか、国民は冷静にウォッチしなければならない。
 ●日本が「ふつうの国」なら任意保険で一本化すべき
 日本が欧米同様のふつうの自由経済体制の国で、ごく当たり前の保険思想があるのならば、任意保険(共済)の普及率が約九割に達している今日、自賠責保険と任意保険の二重構造を保持し続ける必然性は全くない。自賠責保険も任意保険も運転者の賠償資力を確保することによって、被害者保護を行う社会保障・生活保障のインフラであり、対人賠償保険としての本来的機能にいささかの差異もない。自賠責保険は損保会社や共済団体の資源に乗って運営されているのだから、人・物・金をわざわざ民間と運輸省で分担して運営する必要はない。
 車(200万台)より羊の数のほうが多いニュージーランドの場合は、自然災害も含め社会保険による事故補償制度を実施しているが、パーソナルな賠償リスクを補償する自動車対人賠償保険について欧米主要国では、任意保険一本の制度で法律で一定の契約金額を強制付保させ、保険会社に引受義務を課す方式が通例である。
 日本も同様に任意保険で一本化し、例えば自賠法を改編した「賠償資力法」なり「自動車等事故補償法」を設けて、自賠責限度額同水準の強制付保を規定し、同法の中に現行同様の過失相殺の制限規定を入れるか、ないしはフランス民法典のごとく過失責任能力の問いにくい所定の幼年・高齢・障害者等の真の交通弱者に限定して過失相殺の制限規定を導入すればよい。ただし、交通事故形態が自賠法制定の55年当時の車対歩行者型から、今日では車対車型に大きく様変わりしており、交通弱者=歩行者の保護を前提とした条件付き無過失責任の現行規定(自賠法三条)は、賠償法論上、現状に照らして不合理感が否めない。
 任意保険で一本化すれば、人身傷害補償保険(ノーフォルト保険)も搭乗者傷害保険も無保険車傷害保険もセットできるから、いわゆる「死人に口なし」の死亡無責事故であれ、自損事故であれ、あるいは加害者であれ被害者であれ、確実に保険保護が提供される。車対車型の事故形態では、誰もが加害者にも被害者にもなり得るわけで、それが万能とはいえないまでも欧米ではノーフォルト保険がすでに定着している。また、人身傷害補償保険を基本付帯すれば、過失割合に関りなく示談代行が利用でき、賠償や保険知識の無い契約者が示談で損失を被ることもなくなる。
 すでに現在の車社会のニーズに対応できない、たった一個の自賠責(対人賠償)保険に固執した見直し論議をする余り、賠償責任保険の基本原理を曲げてまで死亡無責事故(例えば、センターラインオーバーでぶつかった当事者が死亡した場合、ぶつけられた相手方に過失はなく、損害賠償責任が発生しないので、自賠責保険といえども補償されない。分かりやすく言えば、事故を起こした当事者が加害者で相手方が被害者となる)を補償すべしといった聞くも気恥しい珍案が、この国では公けの場で論議されたのだ。
 本コラムの品位と当該媒体の権威に関わるのであからさまとしないが、呆れ果てるマスコミ対策もみられた。ひき逃げ・無保険車事故の被害者を救済する仕組みについて、「政府保障」との名称を付していることから誤解が生ずるのだろうが、この財源の純賦課金は契約者の支払保険料の一部であって税金ではない。そも自賠責保険は自賠法に基づく公保険の機能を織り込んではいるが、民間の保険会社(共済)を保険者とする民営保険であって、社会保険でも政府保険でもない。
 事故原因が不確かなことから発生する「死人に口なし」の死亡無責事案の問題を解消するには、TVドラマでもあるまいに実態として民間保険会社が警察同等ないしはそれに優先する調査能力を持つわけもなく、一過性の批判をしたところで何も解決しない。事故原因の究明に当たっては、第一義的に警察の実況見分における事故解析能力の向上に本腰を入れることこそ厳しく指摘されなければならない。また、事故多発地点は特定できるわけで、TVモニターを拡充することで不幸な死亡無責事案はかなり軽減できるはずだ。一方、遺族も決して泣き寝入りすることなく、道路管理者等を提訴するなどして事故原因の徹底糾明に当たるべきだし、また、容易に損害賠償訴訟が起こせるような司法体制の整備を急ぐ必要がある。
 人身傷害補償保険を基本付帯した任意保険で一本化し強制付保させるとしても、車を保有しない未加入者がひき逃げや無保険車による事故にあうケースも考えられるが、これらの事故に対してはヨーロッパの事例にならって、業界機構なり第三者法人の自算会に保障プールを設けて拠出すればよい。
 また、任意保険で一本化しても、現行自賠責と同様の車検リンク(車検時付保確認)制度と法的処罰を維持することで、無保険車が増加する懸念は起きない。任意保険であれば保険料の分割払いも可能で、生活困窮者には業界プールによる保険料貸付制度を整備すればよい。
 ●競争原理を導入すれば保険料は安くなる
 人身傷害補償保険をセットした任意保険でフルカバーした場合、現行の自賠責単種目と比較すれば保険料負担は当然増大する。しかし、等級別(メリット・デメリット)料率を始めとするリスク細分が適用される結果、事故を起こさない大半の優良契約者には安い料率が適用され、契約者負担の公平が実現できる。ちなみに97年度データで、自賠責請求件数119万3023件を分子に、保有台数(自動車+原付)7286万8111台を分母に事故率を割り出すと、わずか1・64%でしかない。つまり圧倒的多数の98・36%の車は対人事故を起こしていないのだ。
 ちなみに、自賠責の保険収支が悪かった頃の69年9月開催の第39回自賠責審議会に交通事故被害者の会を代表して出席した佐藤信平参考人は、「加害者に罪の意識を自覚させ、責任を持たせるという意味でメリット・デメリット料率の導入をやるべきだ」と述べている。
  任意保険であれば自ら競争原理が働く。98年7月からの任意保険の料率自由化で、人身傷害補償保険の導入による担保拡充で一端、単価が2割程度上がったものの、以降、各種割引の拡大や等級プロテクトの導入、30歳未満不担保契約の値引き競争等、純保険料の値下げ競争が一気に進行し、また、エコカー割引、団体・集団扱いの拡大などにより、経費部分の付加率圧縮もめざましい。2001年度からは代理店手数料の自由化により、さらに付加率圧縮が進む。競争原理が働けば保険会社は誰に言われなくても担保範囲を拡げ、価格を下げるものなのだ。営利保険になれば保険料が上がるという単純な見方はしたがって誤りである。
 担保範囲拡大と価格競争の進行により、任意保険の純率と付加率の割合は、向こう5年から10年のうちに現在の60%:40%から、70%:30%、さらには世界標準の75%:25%へと変化していくだろう。
 ●滞留益を一気に還元すれば2年分の保険料がタダになる
 損保会社が任意保険の一本化を主張するのは必然であるにもかかわらず、何故、政府再保険特会の廃止だけに要望を止めているのか。自賠責保険の通常料率における純率と付加率の割合はおよそ70%:30%だが、97年の料率改定で、官民合わせて1兆8000億円に達する運用益を取り崩し、2004年までの八年間でゼロにする計算で7・7%引き下げ、目下、純率60%:付加率40%の割合の赤字料率を適用しているところにその理由がある。
 つまり、自賠責保険はノープロフィットだが、少なくとも2004年までは無風状態で40%の付加率が確保されるため、上乗せの任意保険の利益が価格競争で急速に縮小している中で、自賠責部分については現状のまま推移したほうが経営上得策だからだ。価格競争のない自賠責保険が損保経営を下支えする構図になっている。
 仮りに、運輸省が差配の実権を握っている特別会計の運用益を単年度で契約者に還元すれば、およそ2年分の保険料(2年車検の1回分の支払い)がタダになる。3年で還元すれば60%、5年で還元すれば35%も年間保険料が引き下げられる計算だ。これほどの景気浮揚策は他にない。
 運輸省が本省・地方運輸局の担当者100余名の人件費や天下り・出向先の外郭団体の運営経費に、国会承認を経ているとはいえ、税金でもない純保険料の運用益すなわち支払保険金の財源をタレ流している実態が改まらないならば、不況と自由化の同時進行で民間企業が正に血を流してリストラを断行している現状に照らして、98%の無事故契約者はもはや国家賠償(損害賠償)の選択すら考えなければならないだろう。
 制度発足当初、自賠責保険の業務経費をまかなうために、一般会計から再保険特別会計への繰り入れ規定(自賠法51条・82条)を設けたが、近年のバブル破綻後の財政逼迫により、この措置は中止された。純保険料の運用益を役人の経費に流用できることの法的根拠は不明確であり、これを認めた国会の責任も重い。
 ●金融監督庁に行政一元化を
 運輸省はこれまであらゆるルートを使って「運輸省ビジネス」の権益維持を企図してきた。自賠法、再保険特会法および運輸省設置法の該当条文に照らして、再保険・政府保障事業を中心に運輸省がもの申すことは適法である。だがしかし、自賠責保険事業の免許、保険料、共同行為をはじめ保険者の監督に関する行政権限はその根拠法(保険業法、自賠法、料団法)該当条文に照らして、優先権は金融再生委員会(金融監督庁長官に権限委任)にあり、98年11月配布の運輸省資料の文面の大半は越権的言動と断じてよい。また99年9月の運輸省懇談会報告書において、政府再保険見直しにあたって5つの前提条件と運輸大臣による監督システム例まで提示した内容は、専管の自賠責審議会に対して専横的言動といってよい。
 この5条件が今回の規制緩和措置にも盛り込まれたが、とりあえず政府再保険を速やかに廃止すると共に、行革の流れにあらがう運輸省の行政介入を完全に排除すべく、金融監督庁に行政権限を一元化する議論をおこす必要がある。
 史実を指摘するなら、運輸省主導による自賠責保険構想が持ち上がった1950年代当初、損保業界の自動車保険は40億円規模の収保を上げて急成長を遂げつつあった。運輸省が主管する国営保険ないしは相互保険組合を保険者とする自賠責保険構想に損保業界と大蔵省が反対し、結局、損保会社を保険者とすることで決着したものの、損保側の全額保有の要望は排除され、運輸業者への保険料補助の財源問題も絡んで、大蔵省と運輸省との間で運輸省再保険特会の設置が決められた経緯がある。再保険特会は元来、運輸省が主張する「被害者保護」とは無縁の妥協的産物なのである。
 以来、40年余も権益確保の執念を持ち続け、さらに再保険特会廃止後もなんとかして運用益の分配に介入しようとしているのだから、役人の自己増殖本能にはただ呆れるばかりである。

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