●営団地下鉄日比谷線の脱線事故と保険カバー(2000年3月17日)
◎乗客への賠償
 損害賠償責任保険の鉄道(軌道)業者特約条項でカバーされている。鉄道事業者が、車両または車両の運行のために必要な施設の所有・使用・管理に起因した事故により法律上の損害賠償責任を補償するもの。
 賠償額については、一般の事故と同じ民法上の損害賠償となり、航空保険で適用される国際ルール(IATA規定)のような取り決めはない。 保険料は列車の本数、走行距離、運行ダイヤ、踏切の数などの運行上のリスクを分析して、事業者ごとに個別に設定する。事業者の規模により、適用保険料に幅がある。
 なお、中小私鉄や第三セクターの小規模鉄道業者は、簡易に保険手配ができるように、賠償責任保険について民営鉄道協会による団体制度がある。  

◎車両の損害
 鉄道車両の損害を補償する保険には、二つのタイプがある。
 (1)企業向けの普通火災保険・電車損害担保特約:客車・機関車・貨車・モノレール・ケーブルカーなどが対象で、火災事故の他、衝突・追突・接触・転覆・脱線・墜落・架線障害などの事故により、電車に生じた損害を補償するもの。故意・重過失・地震・電車の瑕疵や腐食・洪水・高潮による事故などは免責で補償しない。
 (2)機械保険:火災を起因とする損害は補償しないほかは、上記(1)同様の事故による損害を補償する(火災損害を補償する契約方式もある=復活担保方式)。
 保険料は事業規模などにより異なる。
 当然の事ながら、保険契約の有無に関わらず、今回の営団地下鉄の脱線・接触事故では、死傷した乗客への損害賠償は事業者が行うことになる。

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