●損害保険の種類と選び方(初級編)(2000年8月12日)
損害保険はリスク(危険)の数だけ保険があるといわれ、たくさんの種類があります。一般家庭(家計)向けの自動車保険、火災保険、傷害保険は2000年6月に価格自由化の経過措置期間が終了し、7月から商品・価格の完全自由化がスタートしました。保険会社ごとに商品内容と価格が異なる時代を迎えて、消費者は複数の保険会社から見積もりを取り、商品内容・価格・損害サービス体制などを比較して、自己責任で最適な保険選びを心がけましょう。
●くるまの保険
〔自賠責保険〕法律で加入が義務付けられたいわゆる強制保険で、保険の内容・価格は統一されています。自賠責保険で補償されるのは対人賠償損害で、自分のケガや車の損害、対物賠償損害などは補償されません。死亡・後遺障害の場合で最高3000万円、ケガの場合で最高120万円を限度に保険金が支払われます。
〔任意保険〕自賠責保険の補償限度を超える対人賠償損害や自賠責保険では補償されないさまざまな損害を補償するもので、現在の車社会においては必要不可欠と言えます。
各社に共通する保険種類として、対人賠償保険、自損事故保険、無保険車傷害保険、対物賠償保険、搭乗者傷害保険、車両保険があり、通常はこれらがセットされて商品化されています(それぞれ個別に契約するタイプもある)。最近では、被害事故の場合に自分の過失分を含めた損害額全額が補償される人身傷害補償保険をセット(基本約款または特約)したいわゆる完全補償タイプの商品も販売されています。保険期間1年の契約のほか、割安な長期契約や、返戻金または払戻金付きの長期の自動車保険を取り扱う保険会社もあります。一方、価格体系では、通信販売の自動車保険を中心に年齢・地域・使用目的などのリスク区分に応じたリスク細分型保険料率の導入が進み、主に無事故契約者層への保険料割引競争が激化しています。
掛け方のポイントは、@特約を含めできるだけ補償範囲の広いものを選ぶ、A他人への十分な賠償資力を備える、B示談で不利にならないよう示談交渉サービス付きのセット商品を選ぶ、C複数の保険会社から見積もりを取って価格を比較することなどです。
●すまいの保険
住宅火災保険や住宅総合保険などの住まいの火災保険では、火災損害のほか、それぞれ所定の自然災害なども補償されます。風水雪害など、地域の自然災害リスクに即した保険選びの視点も大切です。火災保険の掛け方では、@建物と家財を別々に契約するので、家財の付け漏れがないようにする、A時価が保険金支払いの基準となるので、契約金額を時価いっぱいに掛ける、B再築費用が支払われる契約にすることなどです。また、地震・噴火・津波の損害に備えて、地震保険を火災保険にセットしておきたいものです。地震保険の契約金額は火災保険の契約金額の30〜50%の範囲で設定しますが、建物5000万円、家財1000万円が限度です。
●からだの保険
傷害保険にはたくさんの種類がありますが、目的別に見ると、@主に日常生活上のケガの補償(普通傷害保険など)、A主に交通事故によるケガの補償(交通事故傷害保険など)、B主にレジャー・スポーツ中のケガの補償(旅行傷害保険、ゴルファー保険など)に大別できます。賠償損害や携行品損害の補償がセットされているものもあります。最近は公的介護・医療保険を補完する費用保険の開発が進んでいます。
※時価とは、再調達価額から経年減価分を差し引いた金額(国民生活センター「くらしの豆知識2001年版」原稿に加筆)。
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