●銀行窓販の動向と見通しについて(08年2月22日)

 ※以下は、拙文「銀行窓販全面解禁後の動向と見通し」より抜粋。
 老後資金の貯金である個人年金保険の窓販は、銀行預金からの資金シフト型販売が可能なため、保険会社のホールセラーが行員に販売指導することで販売可能ですが、死亡保険や第3分野商品などの保障性商品の販売に行員が習熟するには相当程度の時間とコストが掛かります。また、銀行顧客とのトラブルや説明義務の不履行による行政罰リスクも懸念されます。したがって、保障性商品の窓販では、生保の販売経験者を雇用し、「時間を買う」政策が基本になるでしょう。
 個人向けのリテール店舗網が整備されている都銀では、三菱東京UFJ銀行が173営業拠点で平準払死亡保険、ガン保険、医療保険(引受保険会社:東京海上日動あんしん生命、アリコジャパン、ジブラルタ生命など)、みずほ銀行は405営業拠点で医療保険(アリコジャパン)、三井住友銀行も86営業拠点で死亡保険、ガン保険、医療保険、介護保険(住友生命、アフラックなど)、りそな銀行は328営業拠点でガン保険、医療保険の販売を開始したもようです(全面解禁時における全国紙の報道ベース)。銀行窓販の主役は地域に多数の営業店舗を展開する地銀などの地域金融機関であり、専任営業社員を整備した基幹店舗より順次保障性商品の取扱を開始し、販売拠点を拡大する見通しです。
 銀行側は生保会社に営業拠点に貼り付ける保険販売担当者やトレーナーとして、生保職員の出向・転籍支援を要請し、これに呼応して大手生保各社は1社当たり100〜300人の人材支援を行っています。一方、独自に生保営業経験者の大量採用を行っている都銀もあります。地銀でも現役生保営業職員の転籍採用に取組み始めました。つまり、生保会社の営業職員による勧誘を嫌って銀行で保険購入しようとした人に、銀行のブランドで着飾った元生保職員が対応しているという構図です。銀行窓販の本番は、地域に営業店舗を展開する地銀など地域金融機関での取扱保険種目が拡大した段階であり、08年度以降、ゆるやかに窓販店舗が各地に広がり、2〜3年後には多くの店舗で年金保険や第3分野商品が取り扱われるものと思われます。
 なお、第2分野(損保商品)では、従来からの住宅ローンの長期火災保険の販売に加え、新生銀行などのように直販保険会社の自動車保険の紹介販売(銀行が損保会社に顧客紹介し、損保会社のコールセンターにて商品内容の説明・契約手続き・異動手続き・事故受付などを一元的に行う方式)を行う銀行もあります。
 

***本稿の無断引用・使用は著作権、版権侵害となります。必ず著作者に許諾を求めて下さい***