●東洋経済保険特集号の過去論文要旨(05年5月4日)
(週間東洋経済02・03年版保険特集号巻頭論文:山野井良民著作の一部に加筆)
●ROE経営の胎動が始まった
保険経営の主語は、ステークホルダー(顧客、従業員・代理店、債権者と、株式会社の場合は株主)の期待を満足させるべく企業価値を高めることであり、述語は、そのために収益を持続的に拡大して、その果実をステークホルダーに分配することである。今回の国内生損保主要13社、外資5社の経営者ヒヤリングの結果でも、皆唱えるお題目に違いはない。
昨年7月の国内社への第三分野解禁で、市場開拓の相乗効果により、第2位社の倍の新契約件数を稼いだAFLACインターナショナルのアラン・E・オブライアント社長の表現は、最も明確だった。
「株主には株価を高め、高い配当を続けること。顧客には保険料が安く、価値の高い商品、満足度の高いサービスを提供すること。代理店には業界一高い手数料と、顧客ニーズの高い商品を提供すること。社員には最も働きやすい企業であること(同社はフォーチューン誌「働きやすい企業ランキング・保険会社の部」で四年連続全米bP)。」
各ステークホルダーの求める企業価値はそれぞれ異なる。どの経営者も顧客満足を第一義としているが、では保険株式会社の優先的な受益者は顧客なのか、株主なのか。昨年4月に日本初の損保持株会社を立ち上げ、新二年中期経営計画で世界トップクラスの企業価値の保険グループを目指すと明示したミレアホールディングス・東京海上の石原邦夫社長は、「まず顧客満足が入口であって原点であり、これが代理店・従業員満足につながり、そして最終受益者である株主満足へと価値循環が完結すれば、すべてのステークホルダーが満足したことになる。このバリューチェーンの総和が企業価値となる」と整理する。すでに東京海上は単年度増収率指標に一喜一憂するような経営に終止符を打ち、2000年度から部門別ROE指標と言えるRORAC(Return・on・Risk・Adjusted・Capital=リスク調整後資本収益率)手法での「選択と集中」型の事業展開をいち速く実行している。
東京海上のRORAC(別添図表参照)は、本格的な自由化を迎えた中で99年策定の中期経営計画に盛り込まれ、2年間10回にわたる経営会議での検討を経て2000年度から本格導入した。
ちなみに、2001年度決算ベースで大手損保のROEは黒字の3社で1〜2%台の超低水準で、他はいずれも赤字決算でマイナスと、とても株主の満足が得られる状態にはない。この有様でAIG、AXAなど十分なソルベンシーを保持しながら10%台のROEで最終受益者を満足させている世界の列強と、日本市場で戦い、生き残れるのか――東京海上がRORAC導入に踏み切った動機は、強烈な危機意識にある。
同社が導入したRORAC指標は実態ベース収益を投下資本量(疑似資本配賦)で除した数値で、毎年度の目標設定・達成度評価や経営資源の投入・撤退の意思決定を実行し、すでに全部門でROE目標を突破している。主体の国内損保事業は現段階では数値のブレが少ない「パーソナル」「コマーシャル」「ディーラー」の大括りな三区分で実施。例えば、「パーソナル」分野の場合、RORACを運営するリスク管理部門(経営企画部統合リスク管理グループ)が過去の収益性などを勘案して、期初にROE8%といったハードルレートを設定・付与する。「パーソナル」事業部門では、付与されたハードルレートを達成するための施策を策定、8%を上回るROE目標値を設定する。期中、「パーソナル」事業部門は当該指標の達成に向けて諸事業を展開する。期末にリスク管理部門は「パーソナル」事業部門のROEを評価し、その達成状況に応じて資本の再配分を行う仕組み。
02年度内に日動火災にRORACを導入、03年度からはミレアHDとして子損保会社への資本・リスク配分→評価を行い、グループのROE運営を統括する。「選択と集中」で損害サービス事業会社、海外保険事業会社など、必要なものから傘下に順次立ち上げていく。グループ損保事業で毎年3%増収を継続することで、ミレアHDのROEを現在の2%から2005年度には4・7%に向上させる方針だ。ようやく世界標準の保険経営の胎動が始まった。
●国際保険グループの収益管理
保険会社が展開する諸事業には不確実性が伴う。すなわち販売量の減少、市場の縮小・喪失、投下資産の減少・滅失などのリスクがあり、これらのリスクを取りながら事業を行う代償として収益(リターン)が得られる。諸事業のリスクバッファーとして必要なだけ株主から調達した自己資本を投入し、それに見合う収益を確保する経営をしなければならない。欧米の有力保険会社は次のような収益管理を行っている。
アクサ保険ホールディングのマイケル・W・ショート社長は、「保険経営は風船のようなもの。一つの指標だけを押すと歪んでしまう」と言う。総資産世界bPのアクサグループでは全世界共通で、@EPS(Earnings・Per・Share=一株当たり利益)平均15%、AキャッシュフローベースROE平均15%、B※EV(Embedded・Value=潜在的価値=純資産価値に、保有契約から将来得られるであろう利益の現在価値を加算した指標)伸び率10%以上、の三つの指標をバランスさせて用いている。各指標は短期的には対立するが、長期的に調和する。
時価総額世界bP、米国AIGの最高経営会議メンバーのドナルド・P・ケナック日本・韓国地域社長は、「株主には利益成長率、EPS、配当率を重視するが、特にROEに偏重することはない。各事業、地域の全体像が把握できる指標をきめ細かく用いている」と述べる。
日本進出の米国系有力保険会社も、米国並びに日本の会計基準(GAAP)をベースに置きながら、収益指標に基づく効率的な経営を行っている。全米で純資産(資本)bPのプルデンシャル・ファイナンシャル・グループでは、「株転(2001年)の13年前から社内で保険収益とROEの教育を徹底しており、現在はEVを重視している。また、“Key・Drivers”として事業費率、契約継続率、LA(営業職員)在籍率などを重視しており、これらの数値が良好であればGAAPもEVも良くなる」(ティモシー・E・ファイギー、ジブラルタ生命社長)と自負する。その他、「GEグループは全世界・全事業部門共通でROEを採用。新商品開発もROE指標に基づいて行う」(K・ローン・ボールドウィン、GEエジソン生命社長)、「5年連続でROE伸び率15%を達成した。EPSも重視している。病気の罹患率や投資環境は制御できないが、ローコストオペレーションは自律的に実現できる」(アラン・E・オブライアント、AFLACインターナショナル社長)などと、各社とも収益重視型の効率経営を強調する。収益拡大により時価総額を高め、自らのM&Aリスクを防衛すると同時に、「自社の内部的成長とM&Aが経営の二本柱。収益が見込める限り日本市場でも積極的かつ柔軟に買収を実行する」(ボールドウィン社長)、「日本は欧米と並ぶ主要市場であり、常にあらゆるM&Aの可能性をウオッチしている」(ショート社長)と、日本市場での積極的なM&Aにその成果が生かされることになる。
注※EV(エンベデッド・バリュー:Embedded Value)=潜在的価値。貸借対照表上の純資産価値(資本の部)に、保有契約から将来もたらされるであろう利益の現在価値(保有契約価値)を加えたもの。長期の生保契約は、契約当初は新規契約獲得に要する費用などがかさむことから損失が発生する。その後、契約が継続することで徐々に利益が生ずる収益構造にある。すなわち新規に獲得した契約が決算利益さらには純資産価値の増大に貢献するまでには長期間を要する。EVはこうした独自の収益構造を有する生保事業について、将来にわたる収益貢献を契約獲得年度において、かつ毎年度評価する指標であり、タイムリーな収益管理を実現するものである。主に西欧の保険会社で普及し、日本でも株式会社の大同生命、東京海上あんしん生命、太陽生命など一部の保険会社が導入している。
具体的には保有する個別契約(計算実務上は一定のグループ単位)ごとに保険期間を通じて(終身保険の場合は理論的には限界年齢=男106歳、女109歳を適用するが、保険会社により計算実務上は最長50年間として算定)将来利益を見積もり、毎年度評価する。将来利益の計算においては、収入見込みとして@保険料収入、A運用収入、支出見込みとして@保険金・給付金、A責任準備金繰入、B配当準備金繰入、C事業費などを見積もり、所定の予測値(収入にかかる失効・解約率、運用利回り、支出にかかる死亡・罹病率、事業費率、法人税率など)に基づき、収支計算を行う。この結果得られた利益については、将来の変動を織り込んで、資本・資産評価モデル(CAPM)に基づき所定のリスク割引(現価割引)を行い、評価のブレを軽減する。EVの増収額について、アチーブド・プロフィット(Achieved Profit)と呼ぶ。なお、この保有契約価値に新契約価値(将来、獲得する契約から得られるであろう収益の現在価値)を加算したものが通常、買収価値(企業価値:Appraisal Value)となる。
●生保市場の動向と営業現場の収益管理
現状を踏まえて、景気動向などで上にブレることはあっても下にブレることのないように、保守的かつ大括りに2010年の生保市場の収益構造を捉えてみた(別添の図表参照)。人口動態と金利水準の変化(2010年の長期金利2%と仮定)で見る限り、個人保険保有契約高も基礎利益も現在より一割弱縮小する。すなわち、あらまし大手生保1社分の保有契約高シェアが10年間で消滅してしまう激変である。
逆ざやはゆるやかに改善するものの、引き続き長い付き合いを強いられる。頼みの綱の付加保険料収入面では、人口構造の変化とデフレ不況による解約・失効の荒波が直ちに静まるとも思えない。開拓ポテンシャルの大きい生存保障分野(第三分野・年金市場)では低ローディング(付加率)であるにも関わらず、さらに内外生損保入り乱れた価格競争が激化するため、市場拡大が即ち収益貢献に直結するかどうか、評価が定着するまでには時間を要するだろう。過去、死亡保険主体の経営を行い、営業収益ベースを保有S(普通死亡契約高)→修正Sベース(保有SベースにP:保険料ベースを一定程度加味したもの)に置きかえて実入りを計ってきた生保会社にとっては、医療保険などの死亡保障が小さいかあるいは無いかという第3分野商品の拡大は、短期商品主体の損保同様に、新たに収入保険料(P)ベースの営業収益管理体系(営業年責基準・営業職員給与体系等含め)を構築しなければならないという、命題を突きつけられているのだ。
デフレ不況回復後、拡大する資産形成市場での付加率競争の勝者はローコストオペレーションを確立した保険会社であり、出来高払い・フルコミッションチャネルの外資・損保・損保系生保に比べ、平均年齢50歳代の2割の優績営業職員の挙績が保有Sの8割を占める国内生保はハイコストオペレーションであるがゆえに劣勢に立たされる。
地銀等のペイオフ対策として、昨年10月から早期実施された年金窓販については14社が変額年金、9社が定額年金を銀行に品下ろししたが、当初こそ変額商品が販売主体であったものの、株安を受けて次第に定額商品に販売ウェートが移行しつつある。変額商品では元本保証型商品に人気が集中している。価格に占める手数料等の販売コスト(ローディング)は変額商品最大手のハートフォード生命で5%、国内生保で3.5%〜4%程度と将来的な利差益が見込めない限り、収益性は極めて低いと思われる。銀行への専任営業支援部隊(フルコミッション)を持つハートフォード生命の売り上げが突出しているが、国内社は海外における変額年金再保険市場の不安定な動向や、超低金利・株安の長期化などを勘案し、低収益商品の収益コントロールを重視する引受姿勢を保持している。窓販開始当初の変額年金の主な顧客層は、銀行定期預金3000〜5000万円の預金者で、平均単価(一時払保険料)は約600万円、最多顧客層は60歳代後半(67歳がピーク)となっており、銀行投信窓販顧客への長期運用商品の品揃えとして銀行が取り扱っている構図が見えてくる。定期積立型の年金版投信商品として団塊世代に定着するか否かで窓販変額年金市場の将来が見えてくるだろう。国内生保や損保系生保は死亡保険までフルラインサービスが可能で収益貢献度の大きい金融機関系列代理店(別働体代理店)のシェアアップとの両天秤で、バンカシュアランス市場の開拓を進めていく方針だ。また、年金で利益が出なくとも03年度の金融審議会で窓販解禁議論が行われる第三分野商品で利益を取る本音が透けて見えている。
資産運用と言うより「負債(責任準備金)運用」と言ったほうが正確であるように、長期損益の把握の困難性や、新契約収入と過去の保有契約の溜まりからもたらされる保有収入の調整など販売損益の把握の難しさがあるにせよ、先進外資の先例を見れば、生保固有の特性が国内社での収益管理の遅れのエクスキューズにはなりえない。部門別のリスク&リターンを測定・評価し、事業展開の「選択と集中」を断行しなければ、日本の生保会社経営は確実に行き詰まることをシミュレーションは明示している。
とりわけ少子高齢化の進行は、生保会社にきめ細かい収益管理手法の構築と体制強化を要請している。団塊世代という最大収益貢献群団がどっかりと市場の真ん中にあって、安定的に運用収益が見込める絶対金利水準3%以上が確保されていたかつての時代なら、保有S(死亡保障)指標とそれを拡大するための営業職員の陣容で営業現場を動かせば良かった。今後の人口動態推計では、大括りに20〜60歳を死亡保険の加入対象人口とみなせば、2007〜8年には団塊世代は完全に死亡保障市場から退出する。これとほぼ同時期に団塊ジュニア層が30歳代となり、高額死亡保障のメイン顧客層になるから、保全体制を強化すればしばらくは保有純増も夢ではないが、2006年前後をピークに緩やかに減少傾向を辿って行く。死亡保険のメイン顧客層となる塊の世代は二度と再びやって来ない。
ちなみに、今後の日本市場のメルクマールとして、同様に少子高齢化が進行する米国市場の現状を見ると、ベビーブーマー世代を顧客主体に基調として資産形成市場が拡大し、生保分野の主要商品別シェアは、変額ユニバーサル保険38%、ユニバーサル保険21%、終身保険21%、定期保険17%、変額保険3%(ちなみに最近の傾向は、同時多発テロと株安の影響で死亡保険のウェートが増加しつつある)。
チャネル別シェアでは専属営業職員39%、生保ブローカー23%、独立代理店18%、複合種目(マルチプルライン)取扱募集人9%、集金人扱3%、株式ブローカー2%、直販2%、職域訪問募集人1%、その他1%、金融機関窓販1%未満の割合である(いずれも2001年度・年換算保険料ベース、米国LIMRA調査)。
資産形成市場の拡大に伴いファイナンシャル・アドバイスの重要性が増すにつれ、米国では傾向的に専属営業職員の重要性が薄れてきていると言われるが、「プルデンシャルグループでは、FA教育を強化することで依然優位性を確保している」(T・ファイギー・ジブラルタ生命社長)という例で分かるとおり、要は保険会社による選別採用と教育の在り方次第と判断して良い。米国の90年以降の推移を見ると、専属営業職員の生保個人保険収入保険料のマーケットシェアは90年56%→97年47%とシェアが逓減しているものの、約5割のシェアを占める最大の販売チャネルであることに変わりはない(独立代理店のシェアは同15%→同22%)。洋の東西を問わず、死亡保険も利殖型保険もフェイス・ツー・フェイスのコンサルティング・チャネルが主要な流通経路となっており、この傾向は今後とも不変だろう。日米の相違は、要は販売報酬体系が合理的な出来高払いのフルコミッションであるか否か、顧客から支持されるだけのコンサルティング能力があるか否かの違いだけと言っても過言でない。
生保会社により収益管理のありようは精粗区々だが、経営者の誰もがその重要性は認識しているし、会計手法の策定自体が困難とは言えない。解決が困難な最大の課題は、戦後半世紀にわたって団塊世代の死亡保障市場にすっかり依存し、長年慣れ親しみ定着した「陣容・保有契約高(S)」の単純指標が常に「儲かるもの」としてDNAに組み込まれている生保営業現場の意識改革なのだ。
生保会社の営業店損益の要素を大別すると、入口(収入)は新契約利益、既契約継続利益(既契約喪失損失)、損保販売利益などで、出口(支出)は採用コスト、保全コスト、営業職員給与、事務職員給与、拠点長給与、事務所費用、本社資源利用コストなどである。差し引きで収益(内部留保)が出るように、現場完結型(フラット型経営)で営業店責任者の裁量で経営すれば良い。
今後の収益管理のポイントを思いつくまま列挙すると、営業店ならびに営業職員への生産性第一主義(選択と集中)の徹底、中核人材の重点育成による生産性向上、継続率重視の報酬体系構築、段階的かつ階層的なフルコミッション制導入、ないしは支社または支部(営業機関)の販社(代理店)化による独立採算制導入、全国一律の給与体系から地域別給与体系への転換、前任支社長と現任支社長との収支責任の明確化、それによる収益のリザルト(結果責任)と人事評価のリンク、過剰な総合職人材の営業専門職化(例:資産形成市場、中小企業市場でのFA・FP人材に投下)など、生き残りに向け実行可能なものは施策いくらでもある。支社長・支部長など営業店経営者が収益管理意識・知識を備え、現場完結型で「選択と集中」を実行する保険会社が勝ち残り、発展するだろう。
●縮小する生保マーケット 第3分野市場はバラ色か
少子高齢化とは直截に言えば人口減少を意味し、生保マーケットは縮小する。2010年の個人保険保有契約高・基礎利益はいずれも約1割縮小する(2000年対比=02年版本誌拙稿参照)。分かりやすく言えば、保有S(普通死亡契約高)ベースのシェアで大手生保1社分が消滅することになる。戦後永らく生保の死亡保障市場を支えてきた団塊世代が子育てを終え、08年頃までには死亡保障市場から退出し、夫婦共に第3分野(医療・介護保障)市場へのニーズ移転が顕在化する。この間、団塊ジュニア層が30歳代の子育て世代となり、死亡保障市場を一時期下支えするが、人口が減る以上、保有契約高は長期的に減少傾向を辿る。つまり、縮小し続ける生保マーケットの中で、第1分野から第3分野へのニーズ移転が顕著になるという構図であり、第3分野の拡大によって生保マーケット全体のパイが拡大することはない。
では第3分野市場とは果たしてバラ色の世界なのだろうか。
第3分野のうち、医療保険(単品医療・ガン保険+医療関係特約)の向こう10年間の保険料規模を推計すると、03年度3兆3829億円→2012年度3兆3760億円(可処分所得推移を考慮しない数値では3兆4668億円)となり、単品商品の増加分と、主契約の死亡保険の落ち込みに連動する医療関係特約の減少分が相殺され、医療保障分野全体のパイはほとんど横這いで推移するものと予測される。ただし、@契約高統計の国内生保の保険料換算方法が粗いこと、A先発の外資系生保と後発の国内大手生保・損保系生保・損保本体の市場競争が最も激化した解禁年度の01年度の販売実績をベースに置いたこと、B主に団体傷害付帯型医療保険を扱う損保本体が個人医療保険のバラ売りを行うケースもあること、などの点で推計値がブレる可能性もある。いずれにしても、第3分野市場の拡大に過大な期待は寄せにくい。
ストックの傷みが長期化するということは、ひたすらフロー収益を極大化し、すべてのコストを賄ったうえで内部留保を厚くし、着実に純資産価値の増大を図っていくことが生保経営の王道となる。国内生保の利源別損益は、あらまし死差・費差がプラス、利差がマイナスだが、そも生保会社が死亡率・罹病率、長期金利水準を自律的にコントロールすることはできない。よって死差損益の安全率を甘めに塩梅するか、ALM重視の確定利付資産化を進めて利差損益変動の極小化を図るか、いずれにしても2つの利源管理においては常に受動的な立場に置かれる。契約社会からの廃嫡を覚悟するなら「利下げ」という大技もあるが、机上の選択肢に過ぎない。ALM重視とは究極のところ、利差益の放棄に他ならない。デフレ経済が長期化すれば生保の価格もリスクテイクを本業とする損保のように積立除く正味収保(危険保険料+付加保険料)の世界に近似して行き、商品体系も制約されよう。預かり金たる責準のウェートを抑制するか(第3分野商品)、運用リスクを顧客に転嫁するか(変額商品)に収斂して行く中で、やがて生保がフィービジネスに変身していくかもしれない。
今後、生保のフロー統計もリスクテイクを本業とする損保のように、積立除く正味収保(危険保険料+付加保険料)ベースで捉えていく必要があろう。いずれにせよ、生保会社が自律的に差配できるのは費差損益のみである。生保市場全体のパイが縮小する中で価格競争が進行し、AFLACが「個人保険契約件数日本一!」と喧伝するように死亡保障から第3分野へのニーズ移転が顕著になるということは、端的に低ローディング(付加率)化の進行を意味する(定期保険約40%→医療・ガン保険約20〜25%)。
単独ないしは、合併で規模を拡大したうえで営業拠点の統廃合、内勤職員削減、インフラ共同化、営業管理職(リクルート・育成職務)・営業職員(セールス職務)の機能分化とフルコミッション化、販売チャネル多様化、製・販分離……等々、実施可能なローコストオペレーションの選択肢は多様だ。生保会社のビジネスモデル転換に時間的猶予はない。
人材派遣業でもあるまいに、営業職員に採用・育成業務まで兼務させ(職務を強制したり対価を払ったら業法違反)、挙げ句2年以内に8割も脱落させ、不在籍職員の契約が孤児化(担当者不在のまま放置された契約が保有契約の約5割を占める)し、これが解約・失効の高止まり、すなわち保有純減の主因になっている。大量の孤児化契約を野晒しにしたまま、新契約獲得のインセンティブを高めるフルコミッション導入に踏み切るわけにも行かず、縮む生保マーケットの中で生保会社の悩みは深まるばかりだ。
●狭隘化する損保・自動車保険市場
生保と異なり、いわば手堅い実需商品を扱う損保の場合は景気変動要因以外はあらまし過去の経験則を踏まえて推計すれば、さほど大きな手ブレは出ない(別添図表参照)。戦後長く続いた右上がりのモータリゼーションが終焉を迎えつつあり、少子高齢化の進行で将来は保有台数の減少が確実視されている。売り上げの約6割、利益(異常危険準備金除く引受利益)の8割強を占める最大種目の自動車保険市場では、いまや限界市場におけるパイの奪い合いが激化している。極論すれば市場に手つかずの純新規契約は見込めず他社契約の争奪競争が顕著となり、勝ち組が負け組のシェアを食って売り上げを伸ばしている。 自動車保険の損害率はおよそ5年前後のサイクルで山谷を繰り返す。ちょうど損害率が底から上昇カーブを描き始めた98年7月に料率自由化となり、ノンフリート契約では10月の東京海上「TAP」で人身傷害補償保険(ノーフォルト保険=傷害保険に代位求償機能を織り込む)を組み込み、価格水準を2割上げたところから価格競争がスタートした。が、すぐに付加率でエコカー割引、純率でABS割引等々、さほど裏付けのない要素も含めて割引競争に突入。その後、各社とも補償内容の拡充で価格水準を維持してきたが、車両盗難、自然災害で損害率が上昇、算定会による参考純率6〜7%引き上げのデータ開示後も各社我慢比べとなり、ようやく一昨年4月の各社合併、新商品投入を機に2〜4%の引き上げに踏み切る会社が相次いだ。
中で、昨年7月に合併新会社の経営がスタートした損保ジャパン(旧安田火災+旧日産火災)は年齢区分など一部リスク細分型の「ニーズ細分型」モデルで価格水準を据置き、優良顧客市場への価格攻勢を強めた。その後、三井住友海上、日本興亜損保、ニッセイ同和損保、富士火災など各社が年齢区分、ゴールド免許、使用目的、走行距離などで無事故客層の取り込みを図ったリスク細分型料率体系を導入し、ついに03年8月から他社への契約流出に歯止めかけるためミレアG損保2社がリスク細分型商品(一般料率型の従来商品との2系列)の販売を開始した。これにより日本の自動車保険市場もいよいよリスク細分型料率が標準価格体系となった。すなわち無事故客層への保険料割引競争が本格化している。
一方、顧客企業での相見積もりとなるフリート契約は2000年10月以降、仁義なき割引競争が展開され、3カ月に一回、会社によっては月2回レートを引き下げたところもある。自由化前に比べ損保全体で15〜20%の引き下げとなっている。最近は目先のシェア争奪のためフリート値下げ、集団扱い拡大など、収益無視のチキンレースが展開されている。各社ともコンバインドレシオが悪化しているが、価格競争になかなかブレーキがかからない。
こうした損保最大種目での価格競争の進行とデフレ不況が相まって、収入保険料の減収傾向が顕著になっている。2001年度決算で大手が増収、中小が減収と二極化し、主要11社で0.1%増収。03年上半期では、自動車収保はニッセイ同和損保を除く国内主要損保はいずれも減収、全種目でも三井住友海上、ニッセイ同和損保以外は減収傾向にある。 向こう5年間くらいは大手の新商品投入効果で増収、収益も出るだろうが、やがて少子高齢化で保有台数が伸び止まり→減少していき、成熟市場での価格競争を考慮すると長期的には収益が見込めない種目となる懸念がある。当面、楽観的に見ても、ならして毎年1%前後の増収だろう。利益率は4割程度と見るのが妥当だ。傷害・その他種目では第三分野の発展が見込める。9社で1昨年7月〜昨年3月末54万件だから、全体で年間約100万件と推定できる。今後、ならして毎年4%前後の増収が見込めるものの、この分野は内外生損保間の競争が熾烈を極めるだろうから、利益率は堅めに捉えて4割程度。これらにより、2010年の損保市場サイズは現在より2割弱拡大するが、異常危険準備金を除く真水の引受利益は現在の5割弱程度に縮小すると見る。
●価格競争の進行と損保業界の販売チャネル改革
損保会社を取り巻く環境は一変した。時価会計の導入、国内産業の空洞化に伴う海外市場進出、株主の国際化の拡大など、損保事業のグローバル化の潮流は世界標準での資本効率と収益性を要請し、ソルベンシーマージン規制や金融庁の保険検査の厳格化は自己資本に対するリスク管理の徹底を求め、さらに、加速するアライアンスにおいては事業分野別の投下資本量の適正化が重要となる。こうした環境変化により、自ずから収益性の高い事業分野への資本・経営資源投入による「選択と集中」が求められているのだ。
損保会社における「選択と集中」で最も急がれるのは販売チャネル改革である。最大基幹種目・自動車保険市場の狭隘化が進み、引受利益の大幅減少が確実視される中、損保先進国では類を見ない代理店業務を行う営業担当社員(総合職)を解体し、生保営業または代理店への大量移転を実行すべき時期を迎えている。保険原価(純率)に大差なく価格競争=付加率(事業費率)競争が進行する中で、もはや営業担当社員と保険代理店の二重コスト構造の改革を遅らせることはできない。
ちなみに、元受収入保険料で世界の5割弱のウエートを占めて第1位のアメリカ(46兆9000億円)の代理点数は約10万店と言われ(ブローカーとの兼営が認められている州があり類別が明確でない点もあるが)、1割強のシェアの日本(11兆3500億円)には最盛期より半減したとはいえ32万店もある。アメリカに比べ、売り上げで4分の1の日本市場に3倍以上の代理店が存在する。欧米の大手損保会社の事業費率が25%前後、基幹種目・自動車保険の代手水準は例えば米最大手ステートファーム社が収益加算配分込みで約9%であるのに比べ、日本では長年の社会主義経済的な官僚統制による算定会統一価格で約4割の付加率(社費2割・代手2割)が確保されてきた残滓として、事業費率は会社により35〜40%前後、代手水準は旧SAP平均18%で、代手自由化当初の姿は事務効率配分などを厚くみた結果、従来より若干上昇してしまっている。
あらまし欧米の損保会社にいる社員はアンダーライターであって、代理店の収支明細の記帳や同行・代行募集までする日本社のような営業担当社員は存在しない。欧米のインディペンデント(乗合)代理店・専属代理店はおおむね小規模で3人前後、中規模以上で10人前後の従業員を雇用する独立自営のプロフェッショナルな経営が常識であるのに比べ、日本では大半が店主が営業・事務・事故処理まですべてこなす一人親方の専業代理店、ないしは副業的な代理店で占められている。
いま、一気に欧米標準の代理店再編と損保会社の営業構造改革を断行する必要がある。引き続きリストラを進めて社費を圧縮するとともに、事業費の半分を占める代理店手数料水準を段階的に引き下げる(一方、手数料構成における収益配分(プロフィットシェア)のウエートを拡大する)ことで、事業費率を10ポイント以上低下させない限り、欧米列強損保との価格競争に日本社は負けてしまうのだ。損保会社も代理店も生き残りがかかっている。
損保会社の販売チャネル改革においては、まず、業法本法の代理業務規定にかかる複代理規制を急ぎ緩和し、営業担当社員の販社(直資型総代理店)への大量移転を断行するのが手っ取り早い。しかし、本法改正には時間を要する。よってその前段としての企業型生損保併売専業チャネルの構築が急務となる。総合職営業担当社員と代理店の機能・コスト分化、営業担当社員の資源移転(生保・金融サービス、直資型保険ディーラーなど)、営業課支社の削減、並びに低稼働代理店のリストラ、地場企業型中核代理店(地場専業保険ディーラー)を主体とした抜本的な代理店再編を1日も早く断行しなければ損保会社も代理店も共倒れとなる。
こうしたことから、各社とも中核プロ代理店を主体とする抜本的な代理店再編を進めており、保険業界再編の第2フェーズである代理店再編が本格化している。ちなみに、東京海上は2005年までに、地域営業のコア代理店として直資型(子会社)代理店を1支社1店(300店)設置し、地域営業収保の3割のシェアを確保したいとの胸算用をはじく。これは現在の同社のプロ代理店とほぼ同規模の占率となる。
大手損保会社による中核代理店すなわち既存の専業プロ代理店の合併・統合のあり方は、統合規模の目安は地域の市場開拓ポテンシャル、所在する既存代理店の力量・経営規模によっても異なるが、中核代理店=地場専業保険ディーラー経営の理想を言えば、コンサルティング体制を整備するための先行投資余力(例:金融機関からの継続的な資金借入のための与信レベル)を考慮するなら、手数料収入1億円規模を目標に中小企業レベルの経営基盤を確保する必要がある。すでに手数料1億円レベルの有力代理店が所在する場合は当該代理店が統合のコアになればよい。しかし、プロ代理店で手数料1億円規模の代理店は極めて少ないから、多くの地域では第1段階として、手数料規模5000万円を一つの目安に代理店統合を進め、さらに一定年数経過後、手数料1億円規模を目安に第2段階の統合を行うことになる。総合職営業担当社員は原則これらの中核代理店の経営支援を主な職務とする。この中核代理店の枠組みから外れるその他大勢の「一人親方」的な専業代理店は一般業務職(女子一般職)の担当下に配置替えされることとなる。
●〈損保系生保〉低い生産性、プロ代理店の企業化がカギ
親会社の資源を共有し、そのROE経営で裁量される損保系生保子会社は、あくまでも損保会社内の生保事業部門であって、販売網のクロスセルによる生損保総合損益体制がビジネスモデルのコアになるという意味において、端的に親損保会社のビジネスモデルの範疇に入る。米国ステートファームの生保部門が短期間のうちに大手の一角に入ったように、損保から生保への参入は成功しやすい。独立代理店の顧客管理能力が優れていることがその主因で、日本でもプロ代理店の企業化が実現すれば成功する。
主戦場の自動車保険市場でリスク細分型価格体系が標準化することにより、今後、損保業界は一気に低価格競争が激化し、収益悪化が避けられないため、生保子会社への社員移転が加速する。
社員(総合職)移転状況を見ると、96年の生保子会社開業時から生損保総合損益指標に基づき営業拠点運営している東京海上の場合、従来、生保併売のメイン拠点となる地域営業支社313拠点に生保営業を主務とする担当社員を配置していたが、昨年度から営業拠点における生保専任担当制を明確化するため、あんしん生命出向の生保営業専任社員(プロモーター)を130人、地域営業拠点に配属した。プロモーター社員は05年度を目途に550人まで拡大する方針。このほか、すでにあんしん生命のブロック支社などに配属された管理職のキャリアプロモーター社員が約40人いる。三井住友海上の場合は親会社在籍の生保担当社員は44人、きらめき生命出向の営業社員は128人となっている。
一方、かつて独立生保だったINA生命を段階的に買収し生保子会社化した損保ジャパンのケースはこれらと逆パターン。ひまわり生命にはすでに240人のプロパー営業社員がいるため、親会社からのひまわり生命への出向営業社員は58人に止まる。反対にひまわり生命から今年7月の37人を皮切りに、プロパー営業社員200人を段階的に親会社に出向させ各地営業拠点で損保代理店への生保販売指導を強化する。
現在の損保上位3社の販売チャネルの稼働状況は、東京海上の代理店数5万3562店、うち生保委託代理店数1万8367店、うち実働代理店数1万4366店。損保ジャパンの7万6360店、うち生保委託代理店数1万7602店、うち実働代理店数6490店。三井住友海上の代理店数8万928店、うち生保委託代理店数2万583店、うち実働代理店数1万1594店。
生保子会社のチャネル別の収保ウェートは、東京海上あんしん生命は主体のプロ代理店60%、直販社員(ライフパートナー260人)10%、その他(金融機関・ディーラーなど)30%。INA生命時代からチャネルが多様化している損保ジャパンひまわり生命は、直販社員(ライフカウンセラー116人)3%、通販2%、損保ジャパン委託代理店75%、その他(税理士などINA時代からの独自チャネル)20%。三井住友海上きらめき生命は、プロ代理店55%、その他45%。
「今後、キャリアとノウハウを持つ当社のプロパー営業社員が親会社の現場でプロ代理店にニードセールスの話法・手法を直接指導する。これは当社にしかできないメリットだ。収保ウェートは第1分野6:第3分野4の構成だが、収益性の高い定期保険を主体に拡販したい。この面では損保系他社にはない税理士・会計士の独自チャネル(収保ウェート14%)の優位性があり、中小法人市場への事業保険開拓にも注力する」(損保ジャパンひまわり生命・田山泰之社長)
「04年度には損保系生保第2位の保有契約高を必達したい。最上級のロイヤルメンバー代理店が3分の1の収保ウェートを占める。この中核代理店の5割は生保専任の営業体制を備えており、MDRT会員が18人いる。04年度までにロイヤルメンバー代理店を2000店まで拡大したい。親会社のプロ代理店主体のMSA会員6000店を中心とする主要代理店と営業担当社員が毎月1回アクティブミーティングを行い、各店ごとの生保増収取り組みの明確化と進捗状況のトレースを励行している。生保挙績を伸ばすために、@生保市場分析、A代理店・社員教育におけるスキル向上、BMSA会員生保総稼働による成功代理店づくり、C親会社本社・ブロック本部での生保のプロづくりのための集合研修、D当社教育チームによる部支店単位の研修、などを実践している」(三井住友海上きらめき生命・今井信吾社長)
損保系生保8社中、6社が1万店以上の実働代理店数(生保委託代理店数のおよそ6割前後の割合)となっているが、@「店主一人親方」の個人プロ(専業)代理店ないしは兼業代理店が大半で、生保専任営業体制を持たないことからコンサルティング力が低い、Aよって既存損保顧客への低単価の追販主体営業であり、生保の純新規客の獲得がほとんどできていない、B開業当初から国内生保の旧来の高倍率型定期付終身との比較優位を前提に商品体系を構築してきたため、転換制度(新契約高に影響)が無く、利率変動型含む単体終身、長期平準定期などのバラ売りが主体となっており、各種定期性特約付帯によるSの嵩上げができないことなどから、他の既存生保に比べ総じて生産性が低い(表2)。生保専門の営業職員チャネルと、損保客への追販がメインの代理店チャネルとの生産性を比較するのには無理があるが、例えば新契約高:初年度保険料の割合を比較すると、日本生命25:1に対して東京海上あんしん生命は11:1であり、損保代理店による生保クロスセルの実態は追販主体の低単価チャネルの域を超えていないことが分かる。反面、本業の損保顧客に生保加入を無理強いしていないことから、継続率は高い。
本業の自動車保険と同様に、コンサルティング不要のリスク顕在型商品で損保代理店にも併売しやすい第3分野商品(医療保険+がん保険)の販売実績(3月末)を見ると、損保ジャパン約14万件(年換算P103億円)、東京海上あんしん生命約13万件(64億円)、三井住友海上きらめき生命約6万件(45億円)で、上位3社の第3分野商品については有効な併売チャネルとなっている。
親損保会社の販売網における二重コスト構造の改善と社員の子会社移転によるリストラ効果を実現するには、生損保クロスセルのコアチャネルとして、零細なプロ代理店の合併・統合を断行し、生保専任従業員を抱えられる企業型プロ代理店の確立が喫緊の命題である。東京海上は昨年度から中核代理店制度をスタートさせた。業務委託型使用人制度を導入することで零細なプロ代理店経営における従業員雇用のネックを解消しつつ、既存の自力自走型プロ代理店を選別したうえで、その集約・合併を推進している。これまで、ざっくりならして1店当たり手数料収入規模で3000〜5000万円レベル、経営・営業・事務機能を分化した体制を持つ企業型プロ代理店(正確には、その萌芽)を約300店誕生させた。この中核代理店が生保営業専任の従業員を配備すれば生損保併売のコアチャネルとなる。
「生損保併売率は親会社のオールチャネルで3.2%、プロ代理店で5%程度。併売率を上げるにはインフラ面の手当では顧客世帯単位の名寄せデータベースの構築が必要。コアチャネルのプロ代理店については、中核プロ代理店300店による生保併売体制の強化に期待している。05年を目途に生保専任プロモーター社員を550名程度に拡充し、さらなる生産性向上を実現する。商品政策は当社のブランドでまず第1分野をしっかり売る。それから強みの第3分野の医療・介護商品や所得保障商品に注力する。親会社より一足先、10月に日動生命と合併する。急ピッチで商品・事務処理面の摺り合わせを行っているが、両社とも東京海上が開発したシステムを使用しているのでこの面の問題はない。第3分野の合併記念商品を出したい」(東京海上あんしん生命・太田資暁社長)
一方、後継者不在の大型プロ代理店を中心に、東京海上が資本を入れて役員(出向社員・主に部支店長経験者)を派遣する直資型代理店「ファミリー代理店」を32店展開しており、今年度中に55店を目途に増強するもようだ。中核代理店とファミリー代理店との2系列ないしは両者が融合し、地域販社(保険ディーラー)が確立したとき、本格的な生損保総合損益のビジネスモデルが完成する。
***本稿の無断引用・使用は著作権、版権侵害となります。必ず著作者に許諾を求めて下さい***